社会人が受けられる公務員試験を知る
社会人が受けられる公務員試験には、大きく分けて次の2つがあります。
民間企業等での職務経験がある人を対象とする試験
職務経験を問わない試験
受験資格として民間企業等での経験年数を必要とするのが(1)で、職務経験を踏まえた「経験論文」が課されることもあります。
それに対して(2)は受験資格としては年齢要件だけの場合が多いです。この(2)として、政府の支援プログラムの一環として実施されてきた「就職氷河期世代」対象の採用試験もあります(2024年度は「第二ステージ」の最終年度です)。
概要
都道府県や政令指定都市では、毎年同じような時期・形式で実施する場合がほとんどですが、政令指定都市以外の市役所では年度によって実施したりしなかったりしています。このように、民間経験者採用試験はどの自治体でも必ず行われているわけではありません。
ただし、全国的に見ると、経験者採用試験を実施する自治体は増加傾向にあります。
試験区分
一般枠の試験に比べると、募集される試験区分は限定されます。都道府県や政令指定都市では一般行政系区分が多いですが、市役所では技術系区分や資格・免許職など専門性の高い区分も多くなっています。
受験資格
職務経験が5年以上の者を対象とする試験が多いですが、技術系区分や資格・免許職ではそれより短い場合や、年数の規定を設けていない場合もあります。職務経験を要求することから必然的に、年齢上限は一般枠に比べて高くなります。
試験日程
自治体によって実施時期はまちまちですが、大学卒程度の一般枠の試験と同一日程で実施する自治体と、別日程で行う自治体に分かれます。都道府県・政令指定都市は別日程であることが多く、市役所は同一日程の場合が多くなります。
また、一次試験は書類選考(論文審査含む)という場合もあります。このときは、申込時に自己PR書や論文などを提出することになります。
試験内容
教養試験、論文試験、面接試験が試験種目の中心で、専門試験が課されることは少ないです。
教養試験
新卒者対象の試験と比べると、筆記試験(択一式)のウエートは小さくなりますが、出題科目の内容は、地方公務員[大卒]、市役所[大卒]等、各自治体の試験に準じています。
民間経験者採用試験といっても、特別な試験が実施されるわけではありません。教養試験(基礎能力試験)は、一般枠(地方上級程度)の試験対策を行います。中には「教養試験のレベルは高卒程度」と募集要項に明記している試験もあるので、その場合は高卒程度試験対策で十分です。
論文試験
一般的な内容のほかに、職務経験の内容や、それを公務にどう生かすかを記述する「経験小論文」が課されることも多いです。
面接試験
ほとんどが個別面接ですが、集団討論、プレゼンテーション試験を実施する自治体もあります。
概要
勤務経験を有する者を係長などの職へ採用することを目的として行う中途採用試験です。採用予定がある場合に、府省別、職制段階別に実施されます。
試験区分
求める専門性等の必要に応じ、試験区分が設けられます。
受験資格
受験資格は試験の種類により異なります。例えば、2024年度実施の経験者採用試験(係長級(事務))の受験資格は、「2024(令和6)年4月1日において、大学等(短期大学を除く。)を卒業した日又は大学院の課程等を修了した日のうち最も古い日から起算して2年を経過した者」となっています。試験の種類によって、各学校卒業後の経過年数の上乗せまたは短縮、特定の資格を有することなどの要件もあります。
試験日程 ※2024年度
申込み期間(インターネット):7/22(月)~8/13(火)
1次試験日:9/29(日)
2次試験日:11月上旬~12月上旬
3次試験日*:11月下旬~12月中旬
最終合格発表日:11月中旬~12月下旬
*試験の種類によっては、3次試験実施なし。
試験内容
基礎能力試験(択一式)[第1次試験]、人物試験[第2次試験]を必須の試験種目とするほか、対象となる官職を踏まえ、試験ごとに設定
試験ごとに選択される試験種目:政策課題討議試験、一般論文試験、外国語試験(記述式)、外国語試験(面接)、経験論文試験、総合評価面接試験
試験区分 ※2024年度
事務、技術、刑務官、入国警備官
受験資格 ※2024年度
昭和41(1966)年4月2日〜昭和61(1986)年4月1日生まれの者
試験日程 ※2024年度
申込み期間(インターネット):7/17(水)~7/26(金)
1次選考日:10/27(日)
1次選考通過者発表日:11/22(金)10:00
2次選考日:12/4(木)~12/16(月)
合格発表日:12/26(月)
試験内容 ※2024年度
1次選考 :
基礎能力試験[択一式、40問、1時間30分]
作文試験[1題、50分]
基礎能力試験とは
公務員として必要な能力(知能および知識)についての筆記試験です。
知能分野20問 文章理解、課題処理、数的処理、資料解釈
知識分野20問 自然科学、人文科学、社会科学(時事を含む)
※出題内容は国家一般職[高卒]に近いものです。
2次選考 :
採用面接[個別面接]
身体検査 ※刑務官および入国警備官
身体測定 ※刑務官および入国警備官
体力検査 ※刑務官および入国警備官
政府の掲げる「就職氷河期世代支援プログラム」の一環として実施される試験ですが、2024年度は「第二ステージ」の最終年度となります。
地方公務員[一般枠の試験]
新卒者等が受験する一般枠の試験については、受験資格の年齢上限がネックになる場合がありますが、大卒程度公務員の中には、30~50代でも受験できる試験もあります。ただし、この場合は、職務経験が評価されるのは人物試験(面接など)においてであり、その前段階の1次試験では大学生などの若い人たちと教養試験や専門試験の得点を競うことになりますので、より効率的な学習計画を立てることが必要です。しかしながら、採用数は民間経験者採用試験よりも一般枠の方が多くなります。
地方公務員[就職氷河期世代対象の試験]
都道府県、政令指定都市、特別区、市町村においても、多くの自治体で就職氷河期世代を対象とした試験が実施されています。試験日程は自治体により異なります。
出題内容は高卒程度試験に近いものとしている自治体が多いです。
国家一般職[社会人試験(係員級)]
採用予定がある場合に、経歴のいかんにかかわらず受験することのできる試験として、社会人試験(係員級)があります。試験区分は、事務、技術、農業、農業土木、林業のうち、採用予定のあるもの。2024年度試験の受験資格は40歳未満(令和6年4月1日現在)。
国家専門職[社会人]
採用予定がある場合に、専門職[社会人]試験が実施されます。2024年度試験の受験資格の年齢上限は40歳未満(令和6年4月1日現在)。
大卒程度試験:法務教官(社会人)
高卒程度試験:刑務官(社会人)、入国警備官(社会人)
科目 | 出題数 |
---|---|
現代文 | 4 |
英文 | 6 |
判断推理 | 8 |
数的推理 | 3 |
資料解釈 | 3 |
自然・人文・社会に関する時事 | 5 |
情報 | 1 |
合計 | 全30問必須回答 |
科目 | 出題数 |
---|---|
現代文 | 4 |
英文 | 3 |
課題処理(判断推理) | 7 |
数的推理 | 4 |
資料解釈 | 2 |
時事 | 5 |
物理 | 1 |
化学 | 1 |
生物 | 1 |
地学 | 1 |
世界史 | 2 |
日本史 | 1 |
地理 | 1 |
政治 | 3 |
経済 | 2 |
社会 | 1 |
倫理 | 1 |
合計 | 全40問必須回答 |
科目 | 出題数 | 解答数 |
---|---|---|
現代文 | 4 | 30問必須解答 |
英文 | 4 | |
判断推理 | 4 | |
数的推理 | 4 | |
空間把握 | 4 | |
資料解釈 | 4 | |
社会事情 | 6 | |
法律 | 1 | 15問中5問選択解答 |
政治 | 1 | |
社会 | 2 | |
経済 | 1 | |
国語 | 1 | |
歴史 | 2 | |
地理 | 1 | |
文学・芸術 | 1 | |
物理 |
2 | |
化学 | 1 | |
生物 | 1 | |
地学 | 1 | |
合計 | 45 | 45問中35問解答 |
※特別区 就職氷河期世代も共通問題となっています。
科目 | 出題数 |
---|---|
文章理解 | 4 |
英文理解 | 4 |
判断推理 | 4 |
数的処理 | 6 |
空間概念 | 5 |
資料解釈 | 5 |
世界史 | 2 |
日本史 | 1 |
地理 | 1 |
政治 | 2 |
経済 | 1 |
物理 | 1 |
化学 | 1 |
生物 | 1 |
社会事情 | 7 |
合計 | 45 |
都道府県・政令指定都市等 試験日程一覧 令和5(2023)年度
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