実務教育出版 JITSUMUKYOIKU-SHUPPAN


公務員試験について知る

公務員試験には、自分の適性や専攻を生かせるバラエティに富んださまざまな仕事があります。どの試験をめざすのか、どの試験を受ければよいのか、何に注目すればよいのかを説明します。 

仕事内容

公務員といえば、中央官庁や都道府県庁、市役所などに勤務する「行政」職員をイメージするかもしれませんが、他にもさまざまな職種があります。 
特定の分野の業務に従事する専門的な職種や、技術系、資格免許職、あるいは警察官・消防官などの「公安職」もあります。 

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試験区分

たとえば、『○○県職員(大学卒業程度)採用試験』の中で「事務」「電気」「土木」…のように設けられた区分を「試験区分」といいます。 
試験区分は原則として職務内容の違いによって分けられていますが、専門試験の出題内容によって分けられる場合(事務系を「行政」「法律」「経済」に分ける等)もあります。 

試験の程度

公務員試験の「程度」は、最終学歴を目安にして、「大学卒業程度」「短大卒業程度」「高校卒業程度」のように分類されます。試験によっては「1類」「2類」「3類」、また「上級」「中級」「初級」といった分類もあります。
これらは試験問題のレベルを示しているだけのことが多いです。受験資格として学歴要件を課す試験は少なくなっています(一部に学歴要件が課される試験もあります)。 

受験資格

必ず確認すべきなのは年齢です(ただし近年は年齢要件を緩和する試験もあります)。
大学卒を受験資格にするなど学歴要件も一部にあります。専門的な職種では専攻分野を限定する場合もあります。高卒程度試験では「卒業後◯年以内」のように定める場合もありますし、大卒者の受験を認めない場合もあります。
市役所などでは住所要件を設ける場合もあります。受験時点で要件にする場合は少なく、採用後の居住を要件とするほうが多いです。 
そのほか、該当すると受験できない「欠格条項」というものがあります。

試験種目

多くの公務員試験で課される試験種目はこちらです。
教養試験:基礎能力試験とも呼ばれる5肢択一式の試験。ほぼすべての公務員試験で課されていましたが、最近は教養試験の代わりにSPI3やSCOAを導入する試験も増えています。
専門試験:大卒程度試験の多く、高卒程度試験の技術系区分などで課されます。主に5肢択一式ですが記述式の場合もあります。最近は専門試験を課さないことも増えています。
論(作)文試験:大卒程度試験では論文、高卒程度試験試験では作文が課されることが多いです。答案用紙に文章を筆記する形式です。
個別面接:受験者1人と面接官数人で行う面接は、ほぼすべての公務員試験で課されます。ほかに集団討論や集団面接が行われる試験もあります。
その他:試験によって、外国語試験、学科試験、一般常識試験、事務適性試験、体力検査などが課される場合があります。

配点比率・合格ライン

多くの公務員試験で、試験種目ごとの配点比率が公開されています。
人事院が行う試験では合格者の決定方法が公開され、平均点、標準偏差も発表されるので、それらをもとにして以下のように一次合格ラインをまとめました。

令和5年度につきましては、

『7年度試験対応 公務員試験 学習スタートブック』

のP141~144に掲載しています。

合格者の決定方法の詳細

各合格者の決定方法の詳細は以下のPDFでご確認ください。

院卒者試験:

大卒程度試験:

区分別一次合格ライン推計一覧
[基礎能力得点〈素点〉別・専門試験最低必要得点〈素点〉]

※区分別に[院卒者試験][大卒程度試験]が1シートになっています。

例えば、院卒者試験:行政の場合、基礎能力試験が50%正答の15点なら、専門は4年度であれば最低12点、3年度であれば最低12点、2年度であれば最低12点、元年度であれば最低12点、30年度であれば最低12点取る必要があったということです。
大卒程度試験:政治・国際の場合、基礎能力試験が50%正答の20点なら、専門は4年度であれば最低16点、3年度であれば最低19点、2年度であれば最低15点、元年度であれば最低20点、30年度であれば最低22点取る必要があったということです。
なお、表中のグリーンの網掛けの部分は、各試験種目の基準点(最低限必要な点数)を示しています。

合格者の決定方法の詳細

各合格者の決定方法の詳細は以下のPDFでご確認ください。

大卒程度試験:

区分別一次合格ライン推計一覧
[基礎能力得点〈素点〉別・専門試験最低必要得点〈素点〉]

[大卒程度試験:行政]※各地域のPDFでご確認ください。

[大卒程度試験:技術系]※各区分のPDFでご確認ください。

例えば、大卒程度試験:行政 関東甲信越の場合、基礎能力試験が50%正答の20点なら、専門は4年度であれば最低27点、3年度であれば最低27点、2年度であれば最低27点、元年度であれば最低26点、30年度であれば最低27点取る必要があったということです。
なお、表中のグリーンの網掛けの部分は、各試験種目の基準点(最低限必要な点数)を示しています。

合格者の決定方法の詳細

区分別一次合格ライン推計一覧
[基礎能力得点〈素点〉別・専門試験最低必要得点〈素点〉]

法務省専門職員(人間科学) ※PDFでご確認ください。

例えば、
矯正心理専門職Aの場合、基礎能力試験が50%正答の20点なら、専門は4年度であれば最低12点、3年度であれば最低12点、2年度であれば最低12点、元年度であれば最低12点、30年度であれば最低12点取る必要があったということです。
なお、表中のグリーンの網掛けの部分は、各試験種目の基準点(最低限必要な点数)を示しています。

財務専門官 ※PDFでご確認ください。

財務専門官

例えば、
財務専門官の場合、基礎能力試験が50%正答の20点なら、専門は4年度であれば最低19点、3年度であれば最低27点、8年度であれば最低26点、元年度であれば最低28点、30年度であれば最低27点取る必要があったということです。
なお、表中のグリーンの網掛けの部分は、各試験種目の基準点(最低限必要な点数)を示しています。

国税専門官 ※PDFでご確認ください。

国税専門官

例えば、
国税専門官の場合、基礎能力試験が50%正答の20点なら、専門は4年度であれば最低19点、3年度であれば最低17点、2年度であれば最低15点、元年度であれば最低18点、30年度であれば最低19点取る必要があったということです。
なお、表中のグリーンの網掛けの部分は、各試験種目の基準点(最低限必要な点数)を示しています。

労働基準監督官 ※PDFでご確認ください。

例えば、
労働基準監督Aの場合、基礎能力試験が50%正答の20点なら、専門は4年度であれば最低12点、3年度であれば最低14点、2年度であれば最低12点、元年度であれば最低15点、30年度であれば最低18点取る必要があったということです。
なお、表中のグリーンの網掛けの部分は、各試験種目の基準点(最低限必要な点数)を示しています。

試験実施結果

国家公務員試験などの実施結果をまとめました。競争率や採用予定数の確認をすることで、どの試験を受けるべきかのヒントになります。